カルロスゴーン被告が日本からレバノンに国外逃亡し、先日(1月8日)に逃亡先のレバノンから世界に向けて記者会見を開きました。
ゴーン被告の主張の大半は「自己弁護・自己正当化」と「日本の司法制度批判」でしたが、それについての海外の反応はどうなのでしょうか?
日本からは法務大臣の森まさこ氏が強い論調で「密出国、不法出国に当たる犯罪だ」と断罪しましたね。
ゴーン被告の国外逃亡と記者会見での主張に対する各国の反応、特にアメリカ・フランス・イギリスの3か国の反応について見てみたいと思います。
是非最後までご覧下さいね。
カルロスゴーンの主張要約
各国の反応について確認する前に、前提知識として1月8日のカルロスゴーン被告の主張内容を確認しておきます。
明らかなのは、ゴーン被告が開いた記者会見は自身の疑惑を晴らすためのものではなかった、ということです。
世界中が知りたかった以下の2点については沈黙を貫きました。
日本を脱出した方法について
●ゴーン被告からは語られず。
日本の各メディアが報道しているルートと手段で逃亡したことはほぼ確実。
身を潜めていたとされている音響機材ケースも発見されており、関西空港からトルコを経由してレバノン入りと思われます。
「日本から出た経緯については話しません。それが迷惑をかけることにもつながるからです」「私は『なぜ脱出したのか?』を語るために来た」
関与していた政府関係者について
●ゴーン被告からは語られず。
これを話してしまうと「レバノン政府に迷惑がかかる」として、ゴーン被告は公表を避けました。
ということは裏を返せば「政府関係者に協力者がいた」ということになります。
ゴーン被告を追放したとされる5名については名前を明らかにしているため、この5人から辿っていくと政府関係者に辿り着くかもしれません。
「レバノン政府や国民の不利益になることはしない」
ゴーン被告の主張
ゴーン被告の記者会見はトータルで2時間半以上にも及び、話題については各方面に飛ぶため「結局何が言いたいのか?」が判然としません。
以下にゴーン被告の記者会見での主張を箇条書きで列挙します。
【日本の司法制度について】
- 無期限で独房に閉じ込められたのは不当な扱いだ。
- 検事に自白を強要された。
- 有罪率99.4%の下に置かれていた。
- 取り調べには英語・フランス語を話せる人が立ち会わなかった。
- 取り調べは連続して8時間を超えることが多かった。
【日本から逃亡した理由について】
- 不当な訴追から逃れるために日本を脱出した。
- 私に対する起訴には根拠がない。
- 日本では有罪になるものがテネシー州では無罪である。
【それ以外】
- クリスマスも年末年始も一人で過ごしたことが納得いかない。
- 子供や妻など家族に会うことができなかった。
- シャワーを週2回しか浴びることができなかった。
- 私は日本を愛している。
- 倒産しかけた日産を復活させたのは私だ。
アメリカ(米国)の反応と論調について
●日本の司法制度の敗北と日本ブランドの失墜に言及。
●米国政府および米国市民含め、全体的にゴーン被告の逃亡を支持する論調が多くみられる。
「日本のブランド(日本の印象)は多大な損害を被るだろう」
「彼の事件は間違いなく日本の司法制度にとって大きな敗北だ」
<出典>CNN
フランス(仏国)の反応と論調について
●以外にもゴーン被告の逃亡を糾弾する論調が見られる。
●日本政府とレバノン政府の関係性についての言及が多くみられる。
レバノンと日本の間には犯罪人引渡し条約が存在しないが、今回の件は明らかに両国間に外交問題を引き起こすだろう。
カルロスゴーンは法を超越しているわけではない。
<出典>FRANCE24
イギリス(英国)の反応と論調について
●全体的にゴーン被告の逃亡に理解を示す論調。
●英国市民はゴーン被告の逃亡を支持する見方は約半分。見解は分かれている。
日本の刑事司法制度は尋問に焦点を当てておりその目的は自白を得ることにある。日本の有罪判決の89%は自白に基づいており、起訴された場合の有罪判決を受ける可能性は99%となっている。
カルロス・ゴーンが逮捕・起訴されたこと自体に疑問の声を投げかける声も聞こえている。
<出典>BBC
カルロス・ゴーンの日本からレバノンへの劇的な脱出劇をめぐり、彼がこのような大胆不敵な行いを成功させた方法に対する多くの疑問が提起されたが、彼がそうした動機には疑いの余地はない。
ゴーン氏の未来は日本の検察に起訴され、扱う事件の99%以上で有罪判決を下す日本の司法制度の檻に閉じ込められた時点で決まっており、彼はそれを知っていた。
<出典>ガーディアン
まとめ
カルロスゴーン被告の国外逃亡事件について、海外の反応を調べてみると意外にもゴーン被告を支持する論調が多いことに気づかされます。
ゴーン被告の主張するように「日本の司法制度が人権を無視したものであり、世界一厳しい」という見解に同調する国が多いですね。
英国の実業家マイケル・ウッドフォード氏の言葉を引用して終わりにしたいと思います。
「彼(ゴーン被告)が日本で公正な裁判を受けられるかには重大な疑念があり、ゆえに私は彼の行動に強く賛同[共感]している」
今回も最後まで読んで頂きありがとうございました。
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