コキア(Kochia)という和名「ほうき草」から、秋田名物の「とんぶり」という実が採れます。
最近は東北だけではなく、関東圏や西側の地方でも「とんぶり」を見かけることが多くなりました。
「とんぶり」の包装袋にも「畑のキャビア」と書かれており、見た目も確かにキャビアにソックリですが、なぜ畑のキャビアというのでしょう?
商品によっては「山のかずのこ」と表記しているものもあります。
今回はそんなコキアと箒(ほうき)の関係や、とんぶりの美味しい食べ方、とんぶりの賞味期限、掃除の箒(ほうき)として利用した理由などについて調べてみました!
是非最後までご覧下さいね。
コキアから採れる「とんぶり」はどんな食べ物?
炎の匂い 染み付いて
タピる#いぶりがっこ #山内#木村テイ子#とんぶり #大館#とんぶり兄妹 #とんぶりの輪#ままいっぺけよ #田ピ活 pic.twitter.com/mr0QSryH2z
— 超神ネイガー (@neiger_akita) November 4, 2019
とんぶりは、コキアという「ほうき草」とか「ホウキギ」と呼ばれる一年草植物で、小さく見えるツブツブを収穫して皮をむいたものです。
日本一の収穫量を誇る秋田県大館市では毎年4月下旬以降に栽培され、9~11月にかけて収穫されます。
キャビアはチョウザメの卵巣を塩漬けにしたものですが、とんぶりは一年草植物から収穫した実なので「畑のキャビア」と呼ばれています。
大豆が「畑の肉」と呼ばれるのと似たような感じですね。
引用させていただいたTwitterは大館市のご当地ヒーローの「超神ネイガー」さんからお借りしました。
超神ネイガー
とんぶり農家に迫る産地継承の危機
下にご紹介する記事は、2020年9月17日に秋田魁新聞に掲載されたものです。
秋田県大館市特産トンブリの生産農家の減少に歯止めがかからない。
JAあきた北(同市)によると、本年度作付けしたのは7戸だけで、5年前の半数に落ち込んだ。
国内でも同市比内町だけで生産される「オンリーワン」の農産品だが、農家の高齢化や後継者難で産地継承に懸念の声が上がる。
関係者は危機感を強め、新規参入を促そうと模索を続けている。
<出典>秋田魁新聞
とんぶり農家に限らず、秋田県の人口減少や若者の県外流出はすでに30年以上前から懸念されていた事案でした。
ネットやクラウド環境が整ったことにより、地方移住の動きも活発になりつつあるので、秋田県への県外からの転入もほんの少しだけ上向き加減とのこと。
若者による街おこし的な動きはあるようですが、目に見える効果が表れるまではもう少し時間を要すると思われます。
コキアは箒(ほうき)として使われていた?
毎週金曜日は宅配の日!
宅配のお客様がホウキグサで作った手作り箒。軽くてよく掃ける箒。
てか、ホウキグサってコキアのことだったとは知らなんだ。#森林ノ牧場宅配 #ホウキグサ #コキア #箒 pic.twitter.com/yKbQ5l5cxx— 森林ノ牧場 やまかわまさひろ (@masa_0720) November 15, 2019
コキアの茎が掃除用の箒(ほうき)として利用されているのは事実です。
掃除機の普及やフローリングの部屋が増えたことにより、最近では箒(ほうき)はあまり使われなくなっていますね。
一口に箒(ほうき)と言っても、座敷ほうき・シュロほうき・長ほうき等たくさんの種類があります。
コキアの茎を乾燥させて束ねたものが、一般的に庭に落ちている枯葉や草を集める庭ほうきとして利用されています。
実物を見れば、「あっ、それか!」とすぐに分かるはずです。
一度は掃除で使ったことがある人が多いのではないでしょうか?
下の画像にあるような箒(ほうき)が、コキアの茎から作られた箒です。
コキアで作った和ほうき
でも、なぜコキアの茎が掃除の箒(ほうき)として利用されていたのでしょうか?
実は、コキアは「とんぶり」の収穫用として栽培されていたのではなく、もとから箒(ほうき)を作るために日本各地で栽培されていました。
しかしながら、国内での箒(ほうき)の生産量の減少に伴い、コキアの栽培も減少の一途をたどることになります。
しかしながら、大館市では食用として「とんぶり」を収穫するためにそのまま栽培を続け、現在でも日本各地に「とんぶり」を送り届けているのです。
上の動画は大館市比内地区に広がる「とんぶり畑」です。
70秒程度の短い動画ですが、後半にアップになったコキアの茎に、とんぶりの実のツブツブを確認することができます。
とんぶりの賞味期限と保存方法
とんぶりの賞味期限は、ただ包装袋に入っているだけのものは約2週間です。
真空パック詰めタイプは約2ヶ月、瓶詰めタイプのものであれば約6ヶ月程度となっています。
冷凍保存可能ですが、食感や新鮮な風味を楽しむためには購入した当日か翌日くらいに召し上がることをオススメします。
なお、現在日本国内で商品としての「とんぶり」を継続して、生産・出荷している産地は大館市のみです。
大館流とんぶりレシピ
とんぶりは、収穫高日本一の秋田県や東北地方では、短冊切りした長芋やとろろ芋にかけたり、納豆に混ぜて食べるのが一般的です。
大館では割と食べている家庭が多いと聞いているので、そのレシピをご紹介します。
長芋の短冊切りにかけたり、ワカメとかジャコと和えても美味しいです。
【用意するもの】
●とんぶり
●梅干し
●鰹節
●醤油
●お砂糖(みりん)
●日本酒
【作り方】
①梅干しを適当な大きさにほぐして、お醤油とお砂糖を混ぜる。
②そこへ鰹節を投入し、梅干しと和える。
③最後にとんぶりをいれて軽く混ぜて完成。
完成イメージ
大館とんぶりが食べられるお店
店名 | 連絡先 | お店外観 |
レストラン比内どり | 大館市比内町扇田字新大堤下93-11 | ![]() |
秋田比内や大館本店 | 大館市大町21 | ![]() |
鶏めし 花善 | 大館市御成町1丁目10-2 | ![]() |
あきた味坐 | 大館市字部垂町6-2 | ![]() |
それぞれ、どのお店も比内地鶏料理が美味しいお店です。
とんぶり以外でも比内地鶏の親子丼や焼き鳥などを楽しむこともできます。
まとめ
とんぶりが東北地方以外でも売られるようになり、昔と比べてかなり認知されてきている珍しい食べ物の一つだと思います。
しかも、とんぶりの実が成るコキアは「ほうき草」や「ホウキギ」とも称され、掃除用の箒(ほうき)に使われたり、コキアそのものは秋になると紅葉を楽しむ鑑賞用の植物としても有名です。
源氏物語の第二帖『帚木』にも登場するヒロインの名前も「ははきぎ」のため、コキアと同じ植物と思われがちですが、こちらは下伊那郡那智村の「ヒノキ」を指すようですね。
ところで、本記事でも取り上げましたが、大館とんぶりが全国区になったのは嬉しい反面、後継ぎ問題が大きな問題として残されたままなのが非常に気がかりです。
モロヘイヤに匹敵するほどの栄養価の高いスーパーフード・大館とんぶりを継承していくためには、これまで以上に生産者を増やすための施策を打ち出す必要があるでしょう。
今回も最後まで読んで頂きありがとうございました。
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