WBAとWBCの違いが知りたい!どちらが強いの?権威はどっち?

ボクシング

ボクシングのメジャーな世界タイトルにはどのようなものがあるかご存知でしょうか?

WBAWBCWBOIBFの4つですね。

日本には現在6人の世界チャンピオンがおり(2021年9月現在)、嬉しいことに全ての団体の世界タイトルが現在日本にあります。

・WBA世界ミドル級チャンピオン 村田諒太

・WBA&IBF世界バンタム級チャンピオン 井上尚弥

・WBO世界スーパーフライ級チャンピオン 井岡一翔

・WBO世界フライ級チャンピオン 中谷潤人

・WBA世界ライトフライ級チャンピオン 京口紘人

・WBC世界ライトフライ級チャンピオン 寺地拳四朗

※階級順と名前の五十音順に記載しております。

4つある団体のうち、特にWBAとWBCはお馴染みのタイトルで歴史も古いのですが、WBAとWBCの違いと、どちらが強いのかどちらに権威があるのか気になったので調べてみました。

是非最後までご覧下さいね。

WBAとWBCの違いは?

一言でいうと、「歴史」と「ルール」と「加盟国の数」に違いがあります。

WBAの特徴

大場政夫さん(5度目の防衛)

WBAは日本では「世界ボクシング協会」と呼ばれ、英語表記の” World Boxing Association “の頭文字を取ったもので、4つのメジャー団体の中で最も歴史の古いタイトルです。

設立されたのは1921年(T10)、日本はまだ大正時代で、当時の総理であった原敬(はらたかし)が東京駅で刺殺された年でもあります。

チャンピオンベルトの色は黒で、1ラウンドで3度ダウンしたら自動的にKOで敗けとなる「スリーノックダウン制」を採用しています。

※但しダウンの回数に限らず、レフリーが試合続行不可能と判断した場合はTKO敗けとなります。

WBA世界ベルト

下はWBAの公式ツイッターです。

帝拳ジムの元会長、本田明彦さんの誕生日を祝う粋なツイートをしてくれていますね。

WBCの特徴

ガッツ石松さん(日本人初のライト級王者)

WBCは日本では「世界ボクシング評議会」と呼ばれ、” World Boxing Council “の頭文字を取ったもので、4つのメジャー団体の中ではWBAに続いて2番目に古い団体です。

設立されたのは1963年にWBAの一部として発足しましたが、1966年に完全にWBAから独立(分裂)し、WBCという1つの団体になりました。

チャンピオンベルトの色は緑で、試合続行不可能と判断されない限り何度ダウンしても試合が継続される「フリーノックダウン制」を採用しています。

※フリーノックダウン制は英語では「No 3 knock down rule」で、「何度ダウンしても10カウント以内で立ち上がればOK」という意味ではありません。

WBC世界ベルト

また、他の3つの団体には無いルールとして「オープンスコアリングシステム」という公開採点方式を採用しており、4R終了時と8R終了時にそれまでの採点が公開されます。

下はWBCの公式ツイッターです。



WBAとWBCはどちらが強い?

結論を言うと、強さの優劣はない(もしくは、どちらでもない)が回答になるかと思います。

プロボクサーは、4つの団体のいずれかのみに所属するわけではなく、複数のタイトルを保持することもあります。

実際、井上尚弥さんは現在WBAとIBFの2つのタイトルの王者です(2021年9月現在)。

では、過去にWBA王者とWBC王者が対戦したとき、どちらが勝ったケースが多いでしょうか?

WBAとWBCの王者同士の統一戦

調べてみたところ、さすがに全記録は見つかりませんでしたが、恐らく1勝1敗のペースで五分五分ではないかと思われます。

例えば、記憶に残るWBA & WBCの統一戦をいくつかピックアップしてみましょう。

八重樫東 vs 井岡一翔

WBA世界ミニマム級王者の八重樫東とWBC世界ミニマム級王者の井岡一翔が、2012年(H24年)6月20日に大阪府立体育館で激突しました。

結果は、3-0の判定で井岡一翔の勝利でしたが、公開されたスコアラーの採点は1~2ポイントの僅差で、最終ラウンドで八重樫が1度でもダウンを奪っていれば逆転できた試合でした。

WBC王者の勝利

ローマンゴンザレス vs エストラーダ

WBA世界スーパーフライ級王者のローマン・ゴンザレスとWBC世界スーパーフライ級王者のファン・カルロス・エストラーダの統一戦が2021年3月13日に行われました。

結果は、2-1の判定でエストラーダの勝利でした。

しかしながら、この試合のスコアラーの1人が117-111という圧倒的にローマンゴンザレス有利な不可解な採点をしており、後にこのスコアラーは処分を受けています。

実質的にはエストラーダの3-0の勝利だったと思われます。

WBC王者の勝利

フィゲロア vs ルイスネリ

WBA世界スーパーバンタム級王者のブランドン・フィゲロアとWBC世界スーパーバンタム級王者のルイスネリの統一戦が2021年5月16日に行われました。

結果は、7RKOでフィゲロアの勝利でした。

WBA王者の勝利

フィゲロアがルイスネリをKOで破ったシーンを見て溜飲を下げたファンも多かったのではないでしょうか。

度重なる井上尚弥への挑発や、体重超過による山中慎介戦の2連続KOなどなど、 暴れ放題でしたね。



WBAとWBCはどちらに権威がある?

これについては、「権威」をどう定義するかによると思います。

例えば、歴史が古いという定義であれば、WBAが最も古い団体です。

一方、ファイトマネーとかギャラが高い団体という定義であれば、選手の人気やマッチメーカーの腕次第なので、どちらとも言えないということになります。

しかしながら、WBAは「タイトルの乱立による世界王者の量産」とか「恣意的なランキング運用」が問題となっており、世界的にみても団体としての信用度や信頼性は著しく低下しています。

それが原因なのか不明ですが、2021年8月26日にWBAが暫定王者を廃止するというニュースがありましたね。

しかし、突然暫定王座を空位にすると言われても、現暫定王者はどうなるのでしょうか?

それについては、WBAの決議と同時に暫定王者は「元王者」となっており、防衛戦や正規王者との統一戦などは行わないという決定がなされました。

つまり、先程まで「暫定王者」だったボクサーは、この瞬間から「指名挑戦者」に移行するということです。

このような一方的で乱暴な決定や運用を行うのは、個人的にはWBAのイメージ通りで、「あまり変わってない」という印象ですね。

もっとも、今後適正なランキング運用やマッチメイクを行うことができれば、WBAやIBFのようなタイトルと同じくらいの価値のあるベルトに戻る可能性はあると思われますが。

皆さんはどう思われますかね?



まとめ

日本初のボクシング世界王者となったのは白井義男さんですが、ウィキペディアを見ても、WBA王者とは記載されていませんよね。

これは当時ボクシング団体としてはWBAのみだったためです。

現在では1983年にIBFが、1988年にはWBOがそれぞれ設立されて計4団体になりました。

ボクシングはミニマム級からヘビー級まで17階級あるため、各階級に1名の世界王者がいると仮定すると、最低でも68人の世界王者が存在することになります。

WBAは、正規王者、暫定王者、スーパー王者、ゴールド王者、休養王者、などなど世界中に世界王者が溢れています。

WBAだけでも40名前後の世界王者を抱えていますから、他団体含めると100名を超える世界王者が存在することになりますね。

これでは世界王者の価値が低下するのも当然で、格闘技としての人気や興行収入はともに総合格闘技のUFCには遠く及ばない状態が続いています。

ボクシングファンの一人としては、今回のWBAの暫定王者廃止がきっかけとなって、適正な興行が行われることを切に願っています。

今回も最後まで読んで頂きありがとうございました。

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